「死ねェっ土方ァァァアア!!!」
気配もなく、背後から急に降ってきた声に、土方はすぐ振り向き 抜刀をしようとした。
「っ!!?」
・・・・・・・・・・・が
「あ。」
しくじった とでも言わんばかりの顔をして、刀を後ろ手にしまったのは
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーーー!!!」
まぎれもなく、自分が知る中で一番 変な部下だった。
「ちっちちち違いますよっ私何もしてませんんんんんーーーーーーーっ」
どどどっと音をたて、わき目も振らず、ひたすら廊下を駆ける。
「テメッ嘘つくんじゃねえ!!大声で『殺す』宣言までしてただろうがっ」
そんなを般若のような顔をして追いかけるこれでも上司土方。
「あああっアレは言葉の誤りのようなものですーーーーーーーーっ」
「何を言おうとしたらそんな間違い方すんだっ」
「『死んで欲しいな 土方さん』」
「意味変わってねェェェ!」
「全然違いますよっ希望と実行ですっ!」
「知るかァ!殺されそうになってることにかわりはねえ!」
10mの差を取りつつ、大声でコントのような掛け合いをする2人。
ハタからすれば、廊下を陣取って迷惑極まりないのだが、真選組ではもうこれが日常茶飯事なのだ。
寧ろこれがないと「なんか今日物足りないなー」と思うほどだそうだ。(隊員談)
「ひっひっ土方さん!なんか今日マジじゃないですかっ!?」
「オレぁ、いつでも本気だ」
「(ウソつけ・・・)」
「なんか今、失礼なこと考えただろっ」
「(ギクッ)いっいいえええーー!!」
そうはいっても、やはりいつもより本気だ・・・・・とと隊員たちは思っていた。
いつもなら、が殺人未遂ちょっかいをだして、追いかけっこが始まって5分程で土方がペースを緩め、
が「逃げ切った!」と喜ぶはずなのだ。
土方がの体力を考え、ワザとペースを落としているのを、本人は知らないのだが・・・・・・
と、まぁ裏話はさておき、かれこれ10分はゆうに経過したであろう。
段々とのペースが落ちてきた。
「・・・・・土方さん・・・・・・・しつこいっ!!」
「しつこい言うな。今日という今日はとっちめてやらあ」
「うげぇっ・・・・・(ヤバイ、目がマ ジ だ)」
身の危険と体力の限界を感じたは、心の内でそっと決心した。
─えいっ・・・!!
最後の力をふりしぼり、差をつけて角をまがる。
「しまった!」
焦りを含んだ上司の声を後に、近くにあった部屋に、すばやく逃げ込んだ。
その部屋が、あまりに見覚えがあることにも気づかずに
ばたばたと大きな音をたてて部屋の前を通り過ぎる足音。
小さくなっていくソレに、はふうっとため息をついた。
「つっかれたぁ〜なんなの今日の副長〜〜〜変、恐い、キモ「オイ」
独り言のように呟いた言葉に被った、低い声音。
酸素不足で回らない頭をフル回転させて行き着いた答えに、ザァーっと血の気がひく音がした。(ほんとに、ザァーって)
「ふ・・・・くちょ・・・・・」
「テメェー・・・思ったよりねばってくれたじゃねぇか」
気配も走った後の荒い息遣いもしなかったことに感心しつつ、振り向いた先には満面の般若の笑み。
「なっんでっ・・・・・・」
「ここ、オレの部屋だから」
「!!!」
意地悪く唇をつりあげる土方の策略に気づき、驚くヒマもなく 近づく 距離。
「ひっ土方さっ・・・・・・・!」
「言ったろ。今日という今日はとっちめる。一から教育だ」
「・・・・・・・!!!」
「覚悟しろよ、」
「いやーーーーーーーーーーーーーー!!!」
その後、がどうなったかは、豊かな想像力にお任せするとしましょう。
(キリ番 999 をふんでくださった 陽菜さまへ捧げる) 2006/10/22 弥空 愛歌
愛歌ちゃんより頂きました!ありがとう愛歌ちゃん、愛してる!(陽菜)