今日は夏休みの登校日。何でこのクソ暑いなか学校なんかに行かなきゃいけないの、とか思いつつもちゃんと学校には行く。
だって出席日数が、ね。あはは。
何時も通り午前中はちゃんと授業を受ける。
午前、は。でもお弁当を食べた後は昼休みからずっと屋上で昼寝をする。
コレが私の日課。(でも登校日で丸々一日って奇怪しくない?ってかそもそも登校日の日程も変だと思う)
「あつー……」
燦々と降り注ぐ太陽。ああ夏だー!って感じの天気だけど生憎私はそんなに若くない。
暑いの嫌だし、焼けるのももっと嫌なのでいそいそと給水塔の影へと入った。
ずっと陽に当たっていなかった其処はひんやりして心地好かった。
うとうと、
幸せな満腹感も手伝って、眠りに落ちようとした其の時、ギイ、と錆付いた音を立てて屋上の扉が開いた。別に慌てるつもりは無い。
どうせアイツだろうから。
「やほー、高杉ー」
眠い目を擦りつつ、ひらひらと手を振った。
扉の前からだと今の位置に居る私は高杉には見えないので手だけをアイツに見えるように影から出す。
すると、足音が此方に向かってきた。やっぱりアイツも暑いのは嫌なんだろうか。否、好きな人なんて居ない気がするけど。
彼は給水塔の影に入ってくると私からやや離れた所に立ってフェンスに寄りかかった
(あー、フェンスもひんやりして気持ち良かったのかも…)
高杉が煙草を出し、何時もの様に火を点けて吸おうとする。
あ、とすっかり忘れていたあるものの存在を思い出し、ごそごそと制服の下に履いているジャージのポッケを探った。
「高杉っ」
大きめの声で叫べば、煙草に火を点け様としていた手を止め、此方を見る。
叫ぶと同時に私が投げたソレは高杉の手の中に吸い込まれていった
「何だァ、コレ」
「誕生日プレゼント。どうせ高杉誰からも貰ってないでしょ?」
高杉に投げたのは四角い銀のライター。我乍ら良いセンスしてると思う(結構高かったのよ、アレ!)
にっ、と哂ってソレが何かを言うと、高杉は一瞬驚いた顔をしたが、直に何時もの表情に戻った。
オメーは何時も一言余計なんだよ、と言いながらも先程出していたライターをポケットに仕舞って私のあげたライターで火を点けた。
其れをみると私はにっこり笑って目を閉じた。
別に何を話すでもなく、唯ぼんやりと過ごすだけ。
風に乗って漂ってきた煙草の匂いを嗅ぎながら私はゆっくりと目を閉じた
光る、輝る
(君も僕も。ライターも。太陽も世界もみんなみんな)
:どの辺が誕生日かわかんないけどとりあえずオメデト!: