「ね、侑士のその眼鏡って伊達なの?」


がっくんから聴いた衝撃の新事実。テニス部の中では結構有名だったらしく、私が知らなかった事を逆に驚かれてしまった。


「なんや、知らんかったの?」
「うん、さっきがっくんから聴くまではね。」


大真面目に答えれば彼は「ふぅん」と反応して、優雅な仕草で眼鏡をとった。 侑士が眼鏡をしてない姿を見るのは初めてで、意外というか何というか、思わず見惚れてしまった。


「なんや、俺の素敵な横顔に見惚れてしまったん?」
「な……。」


なんて事を言うんでしょうかね、この男は。しかもまったく恥ずかし気も無く…。それが事実なところがまた癪なんだけど。


「…何で伊達なのに眼鏡してるの?」
「だって掛けへんと格好良すぎて困るやろ?」


誰が困るんだよ。
誰が格好良すぎるのかはもう(どうでも)いいとして、困るのは誰だ、一体。私か?
一人突っ込みをかましていたら、侑士に気になる科白を言われた。


「まぁ、コレを外すのは決まった時くらいやな。」
「え…?」


決まった時には外すんですか、貴方。物凄い気になる。気になるんだけど、ちょっと嫌な予感もするんだよね…。 なんか過去にもこんなパターンであまり嬉しくない展開になった様な気がする…。
でも結局、好奇心には勝てないのよね!


「…どんな時なの?」


やっぱり堪えきれずに尋ねてしまえば、「ん?」と何でも無さ気にこっちを向いた後、


「こういう時や」


無意味なまでに妖しい笑みを湛えて近付いて来る、彼の顔。気が付けば、侑士の眼鏡は彼の右手に収められていた。
はあ、と溜め息を吐いて、やっぱり嫌な予感は外れていなかった事を確認すると、私はこれからくるモノに対して静かに目を閉じた。





キスとその意味は、
(何時も貴方が一枚上手)



:勢いに任せて作ったモノ。意味が分かりませぬ。: