あたしはずるい。
こうやって、忍足の前で泣いているのだって。自分に好意を寄せてくれていて、しかもその想いを無下にしたその人の前で
彼氏に振られたから泣いているなんて、
ああ何処まで非道い女なのだろう、あたしは。
「っく…」
「なあ」
「(ずびっ) な、に?」
「俺は今でもお前の事好きやで」
「…このタイミングで言う、普通?」
「このタイミングだからや」
「何そ」
「れ、」あたしが言い終わる前に言葉が忍足に吸い込まれた。忍足の唇はあたしのソレから離れた後、右上の涙の跡を辿った。
擽ったくて「ん」と身じろぎすると直ぐに忍足もあたしから顔を離した。
「なぁ、俺と付き合わん?」
「…でも、あたしは、」
「分かっとる」
「分かっとる、」もう一度ゆっくりと繰り返すと でも、と口を開く。
「俺はずるい奴でなぁ」
「…は?」
「正直チャンスやと思っとる」
「何言って、」
「の傷が癒えるか、それともが俺を好きになるか。どっちかまででええ」
「…」
「付きおうて?」
「…でも、それじゃあ忍足は、」
「俺はどんな理由であれ、の彼氏になれるんやからそれでええ」
「…ほんとに?」
「ほんまに」
「ほんまに?」
「あぁ」
「…(どうしよう、あたし、)」
「好きやで」
「…あたし、忍足のこと好きになれそうな気が、する」
「おおきに」
あたしの方がずっとずるいよ。だってたったこれだけでアンタに惹かれてる自分が居るんだから。
あたしの思いは口にする直前に再び忍足に吸い取られた。
ラブ・ストーリーは突然に
(もう恋はしばらくお預けって5分前に思ったばっかなのになぁ…)